1976年公開の『犬神家の一族』は、横溝正史の長編推理小説「金田一シリーズ」の映画化作品で、監督は名匠・市川崑、主演は石坂浩二。この作品で、市川崑・石坂浩二の名コンビの人気を不動のものにしました。
八つ墓村に並んで映画化の多い作品で、日本映画の金字塔と言われる名作です。また、アニメ「エヴァンゲリオン」の演出は、この作品が元ネタになっている事でも有名です。
[予告版動画はこちら]
『犬神家の一族』のあらすじ(ネタバレ)
時は昭和22年。とある豪邸の旧家で危篤状態の主人を囲み親族が集まっています。
床に伏し、死を目前にしたその老人こそ犬神製薬で財を成し、莫大な財産と強大な権力を欲しいがままに生きてきた犬神佐兵衛でした。
死を目前にした佐兵衛に遺言を迫る長女の松子ですが、同席した犬神家の顧問弁護士である古館恭三に遺言書を一任していると佐兵衛が明かします。古舘は「遺言は血縁者が全て揃った時に開封発表され、それまでの一切の財産管理は奉公会で代行する」と伝えます。
不審な顔をする親族たちが見守る中、その事を見届けた佐兵衛は他界します。その場にはビルマ戦線に出征していた松子の一人息子である犬神佐清が不在だったのです。
一方、はかま姿で大きなカバンを持ち旅館を探す名探偵金田一耕助。彼は古舘の部下である若林に「話があるから会いたい」と呼び出され指定の旅館を探していました。
無事に旅館に到着した金田一でしたが、目の前の湖で溺れそうになる野々宮珠世の救出に向かいます。
その間に旅館に到着した若林でしたが、金田一が不在の間に不審な死を遂げてします。若林は、犬神家の遺産相続で大変な事が起きると予想し金田一に相談しようとしていたのです。
若林の死をきっかけに、古舘は若林に代わり金田一に正式に調査を依頼します。そうこうしていると、犬神家では次々と惨劇が起き…
この作品がきっかけで一大ブームにもなった、数々の演出や名シーンも見どころです。原作者の横溝正史本人と夫人もホテルの主人としてゲスト出演しています。
個人的には、若かりし頃の坂口良子の美しさと演技力に惹かれました。
◆お勧めポイント
有名なオープニングの書体の演出はもちろん、陰影や自然、田舎と都会のコントラストなどの市川映像の数々は何度見ても斬新で古さを感じません。
石坂浩二をはじめ当時20代の役者も多かったのに、出演者たちの演技力には驚きます。
この作品の後に数々のリメイクが製作されますが、この作品の迫力とクオリティーの高さにはとても及びません。
市川崑作品の中でも渾身の名作です。邦画ではマストの作品です。まだ観た事がない方は是非鑑賞してみて下さい。
『犬神家の一族』の見逃し動画配信サービスは
『犬神家の一族』は、今回ご紹介した1976年の映画版(市川崑監督/主演
:石坂浩二)の他にいくつか作られています。ここでは1977年に角川書店がTV版を提供したもの(5話/主演:古谷一行)、2006年に同じ市川崑監督/主演:石坂浩二でリメイクされた版の、3種類の『犬神家の一族』の配信情報を書いておきます。なお、情報は2020年年3月21日
現在のものです。
動画配信サービス | 1976年映画版 | 1977TV版 | 2006年リメイク版 |
---|---|---|---|
U-NEXT | 見放題 | × | × |
hulu | × | × | × |
Amazonプライム・ビデオ | 見放題 | 見放題 | HD324円(シネマコレクション by KADOKAWAに登録が必要) |
FODプレミアム | 見放題 | 見放題 | × |
dTV | × | × | × |
Netflix | 見放題 | × | × |
TELASA | × | × | × |
YouTube | レンタル 300円~ | × | レンタル 300円~ |
Google Play | レンタル 300円~ | × | レンタル 300円~ |
※情報は2020年3月20日現在のものです。料金には消費税を含んでいます。
※Amazonプライム・ビデオでの角川版の視聴は「Amazon シネマコレクション by KADOKAWA」の会員特典です。初回14日間無料体験、その後396円/月となります。
※レンタルとは、月会費とは別にそれを観る時に別途課金されるもので、各サービスにより2日間~7日間程度の視聴期間が設定されています。
作品概要と主な登場人物紹介
作品概要
- 【監督】市川崑
- 【脚本】長田紀生、日高真也、市川崑
- 【原作】横溝正史
- 【製作】市川喜一
- 【製作総指揮】角川春樹
- 【音楽】大野雄二
- 【主題歌】愛のバラード
- 【製作会社】角川春樹事務所
- 【配給】東宝
- 【公開】(先行上映)1976年10月16日(一般公開)1976年11月13日
- 【上映時間】146分
主な登場人物
- 金田一耕助(きんだいち こうすけ 石坂浩二)
本作の主人公。私立探偵。犬神家の顧問弁護士を務める古館事務所から頼まれて犬神家を訪れる。 - 野々宮珠世(ののみや たまよ 島田陽子)
犬神財閥の創始者 犬神佐兵衛の恩人・野々宮大弐の孫。 - 犬神佐清/青沼静馬(いぬがみ すけきよ あおい輝彦)
松子の1人息子。元は美青年だったが戦争で顔に怪我を負い、ゴム製の白いマスク姿で犬神家へ戻る。 - 犬神松子(いぬがみ まつこ 高峰三枝子)
佐兵衛の長女。佐清の母。 - 犬神竹子(いぬがみ たけこ 三条美紀)
佐兵衛の二女。佐武、小夜子の母。 - 犬神梅子(いぬがみ うめこ 草笛光子)
佐兵衛の三女。美人だが、性格が悪い。佐智の母。
『犬神家の一族』の口コミ
この映画についての口コミを拾ってみました。
Amazon Primeで犬神家の一族(1976)を視聴中
古い作品だけど雰囲気たっぷりで面白い、昔小説読んだけどもう犯人や犯行手段覚えてないこともあって新鮮
高校生の頃はよく横溝正史の小説読んでたけど、10年経って殆ど内容忘れてしまった— ケンシン (@Kenshin_soft) March 13, 2020
技術じゃないんだよな、やっぱり。現在の最先端CGを使ったとしても、この「汚く、迫力のある画」は再現できない。センスなんだ。でも、センスがあってもそれを「実現」できるのは「金」なんだよなぁ。『犬神家の一族1976』も『復活の日』も角川春樹というクレイジーがいなかったら生まれなかった。
— 新年快楽 (@ze2vo) March 13, 2020
1.犬神家の一族(1976) スケキヨの湖の死体で有名なやつ。バタバタ人が死んでいくけど、ラストに向けての展開がすごく好き。呪われた犬神家にある憎悪と、最後に見える愛情の話。 #ふぁぼされた数だけ自分の好きな映画を紹介する
— 唯亜 (@20ms) June 27, 2017
横溝正史作品ではこちらもお勧めです!