今回ご紹介するのは1990年公開のアメリカ映画『レナードの朝』です。
原題は「Awakinngs」で、監督は女優でもあるペニー・マーシャル。映画は、イギリスの神経科医オリバー・サックスのノンフィクション著書を、フィクション作品として再構築して制作されました。
原作は、マウント・カーメル病院に入院していた脳障害の患者に、パーキンソン病用に開発された新薬「L‐ドーパ」を投与した事で起きた奇跡を描いています。
[予告版動画はこちら]
https://youtu.be/c8zirfXsW0M
『レナードの朝』のあらすじ
時は1969年。大学で研究一筋に打ち込んできた医師マルコム・セイヤーが、病院での研究目的の求人を当てにブロンクスの病院に面接を受けに来ます。
面接時にセイヤーは、病院から研究員ではなく医師の求人である事を伝えられます。
極端に人付き合いが苦手な彼は研究に没頭したい気持ちでしたが、その思いに反している上に脳医学は分野外であり、それを理由に辞退を申し出ます。
しかし病院側の説得により彼は意思に反して採用されてしまいます。
真面目で誠実なセイヤーは採用を受け入れつつも、患者たちとの接し方や医師としての対応に苦慮する毎日。
そんなある日、彼は患者たちに反射神経が残っている事に気付きます。
この反射神経に活路を見出したセイヤーは一人の重病患者レナード・ロウと出会い、新薬の投与を思いつきます。
それはパーキンソン病に開発され、効果が話題になっていた「L‐ドーパ」でした。
家族の同意を条件に投与を許可されたセイヤーは、一番重病だったレナードの母親に同意を得ようと説得します。
愛する息子の回復を願う母は同意書にサインをし、新薬の投与が始まるのですが…
この作品の見どころは大きく2つあります。
一つは、1970年代の脳医学の状況下でどういう事が行われ、その結果を描いただけではなく、レナードとポーラの出会いや、患者たちと家族、セイヤー医師を取り巻く人たちとの人間関係が深く描かれていること。
もう一つは、レナードを演じたロバート・デ・ニーロの演技です。作品公開当時のデ・ニーロは47歳。神がかった彼の名演技の素晴らしさは一見の価値ありです。
『レナードの朝』のお勧めポイント
感動作品の代名詞としても有名な本作ですが、人間関係や奇跡の陰にある「悲しみ」を描いていいる点がこの作品の特徴になっています。
ロバート・デ・ニーロが注目されがちなこの作品も、人付き合いが苦手なセイヤーがレナードやエレノアとの出会いで変わっていく様、患者たちの家族が奇跡の後に思い知らされる現実、医学が進歩する以前に起きた奇跡とその副作用…
単にハッピーエンドを描いた作品ではない、一味違った感動がこの作品には詰め込まれています。
『レナードの朝』の見逃し動画配信サービスは
『レナードの朝』は2021年3月現在、NETFLIX(会員見放題)とYouTube・Google Playのレンタルのみで配信されています。
動画配信サービス | 配信 |
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NETFLIX | 見放題 |
YouTube | レンタル 300円〜 |
Google Play | レンタル 300円〜 |
※情報は2021年3月8日現在のものです。料金には消費税を含んでいます。
※レンタルとは、月会費とは別にそれを観る時に別途課金されるもので、各サービスにより2日間~7日間程度の視聴期間が設定されています。
主な登場人物と作品概要
主な登場人物
- レナード・ロウ(ロバート・デ・ニーロ 吹替:金内吉男)
本作の主人公。患者の中でも最も重症で寝たきりだったが、セイヤー医師の治療により奇跡的な機能回復を見せる。 - マルコム・セイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ 吹替:樋浦勉)
ニューヨーク州ブロンクスの慢性神経病患者専門の病院に赴任してきた医師。患者たちに新しい治療を試みる。 - エレノア・コステロ(ジュリー・カブナー 吹替:北浜晴子)
病院に勤める看護師。悩むセイヤー医師を支える。 - ロウ夫人(ルース・ネルソン 吹替:中村紀子子)
レナードの母親。 - カウフマン医師(ジョン・ハード 吹替:納谷六朗)
セイヤー医師の上司の医師。 - ポーラ(ペネロープ・アン・ミラー 吹替:井上喜久子)
父親の見舞いにやってきた女性。レナードは彼女に恋をする。
作品概要
- アメリカ映画
- 【監督】ペニー・マーシャル
- 【脚本】スティーヴン・ザイリアン
- 【原作】オリヴァー・サックス『Awakinngs』
- 【製作】ウォルター・F・パークス、ローレンス・ラスカー
- 【製作総指揮】ペニー・マーシャル 、アルネ・シュミットほか
- 【音楽】ランディ・ニューマン
- 【製作会社】コロンビア映画、パークス/ラスカー・プロダクションズ
- 【配給】(米)コロンビア映画(日本)コロンビア・トライスター映画
- 【公開】(米)1990年12月22日(日本)1991年4月5日
- 【上映時間】121分
- 【言語】英語
金曜ロードショーと「吹替洋画劇場シリーズ」
『レナードの朝』は映画の日本語吹替とは別に、日本テレビ“金曜ロードショー”のためにテレビ用吹替版が制作されました。
こちらではレナード・ロウ(ロバート・デニーロ)の声を野沢那智、セイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)の声を角野卓造が演じています。(放送は1996年1月26日)
このテレビ放送版は、ソニー・ピクチャーズから発売されている「吹替洋画劇場シリーズ」で観ることができます。