難解な『シャッターアイランド』をわかりやすく!伏線や仕掛けを徹底考察

カプチーノ

前回の記事で映画『シャッターアイランド』のあらすじや見どころ、ネット配信サービスなどについて書きました。

この作品は実に巧妙に仕組まれた「仕掛け」が面白さのカギになっています。更に、気がつくと驚きと楽しみを味わえる「監督の遊び心」も仕掛けられています。

私はこの記事を書くにあたり、仕掛けを全て見つけようと何度も再生とスローを繰り返し、観返しては、気になるところに関して調べました(笑)

この記事では私なりの『シャッターアイランド』の解釈と、楽しむためのヒントの数々を考察していきます。

[予告版動画はこちら]

目次

脚本と演出のここが凄い

1954年という設定がミソ!

この映画の重要なテーマのひとつが、精神病院を舞台に1930年代後半から1970年代まで実際に行われていた「ロボトミー手術」。映画『カッコーの巣の上で』でも描かれたロボトミー手術の詳細をこの作品でも知る事ができます。

この手術は日本でも施術されていたというから驚きます。

巨匠たちへのオマージュが詰め込まれています。

不自然なセットでのシーンが登場したり、嵐に見舞われる孤立無援な状況、ストロボライトのカット、「赤狩り」や「マインドコントロール」がキーワードになっていたり…

巨匠・ヒッチコックやキューブリックが多用した手法やシーンを随所で見ることができます。

カプチーノ

※以降はネタバレ要素も含むので、気にされる方はここで踏みとどまってください。

思い込みと錯覚を利用した監督のお遊び

テディがミセス・カーンズを尋問するシーン

このシーンで、入院患者のミセス・カーンズが「水が飲みたい」とチャックに頼むのですが、水を飲むシーンで彼女は左手にグラスを持っていません!しかも、テーブルに空のグラスを置く手は右手になっています。


これは実際は飲んでいない水を、飲んだと錯覚させるためのカットだそうです。

作中に登場する2人のレイチェル・ランドー

ストーリーの中で2人のレイチェル・ランドーが登場します。ひとりは病院に戻ってきた看護婦。彼女はテディの妄想の中の架空の人物です。


もう一人は洞窟に居た精神病患者です。ところが彼女は「レイチェル・ランドーだな?」の問いかけに答えていない上に、他の問いかけに否定しているのでレイチェルではなく、“ロールプレイ”に参加しレイチェルに間違われた実在の患者です。

その証拠に、テディの知らないロボトミー手術や薬品、タバコに関しての情報を教授します。

この2人のレイチェルが登場する事で、観る者の思い込みや錯覚を利用しています。

真相を匂わせる伏線と仕掛けの数々

『シャッターアイランド』にはいろいろな伏線や仕掛けが隠されています。いくつかピックアップしてみます。注意して観て(聞いて)ください。

テディのコメカミの絆創膏

「ロボトミー手術」はコメカミから刺す施術も一般的だった事から、テディが最後に選択する結末を暗示しています。

テディの「水が苦手で…」の言葉

テディが妄想の世界に逃げ込む最大の原因が水だった事からも当然です。

テディがシーアン医師に関して尋問する時の、看護婦とミセス・カーンズの視線の先

二人ともチャックの居る方に視線を向けていることから、“ロールプレイ”に参加しているのを暗示しています。

しきりにタバコを勧められ吸っているのは…

テディのロールプレイ治療期間中に投与を停止した薬「クロルプロマジン」の禁断症状を抑えるため。

銃を渡すときに手間取るチャック

そもそも彼が銃の扱いに慣れていないため。

テディが抱える「頭痛」「めまい」「震え」「嘔吐」「錯乱」は真相の伏線

これらは皆「クロルプロマジン」の副作用だそうです。

テディが患者のピーター・ブリーンの尋問で鉛筆を擦って嫌がらせをするシーン

元々テディも患者で、ピーターがこの音を嫌っていた事を知っていました。

看守やナーリング医師がテディに暴力についての話を執拗にしたシーンと、テディが患者に襲われた際にテディより患者を心配した理由は…

テディが粗暴な上に、訓練されている危険人物だと知っていたから。

洞窟でレイチェル・ランドーが「牛乳屋」「郵便配達人」と表現し妄想の世界の話をした理由は…

テディ本人そのものを語った比喩表現です。

チャックの死体は幻覚

岸壁の岩肌が人型そっくりで、テディはクロルプロマジンの副作用で幻覚を見て、チャックだと思い込んだ。

コーリー院長のセリフと、チャックとのアイコンタクト

院長は本当の事しか言っていません。アイコンタクトはまさに“ロールプレイ治療”の成果を確認している暗示となっています。

真相だけじゃないアナグラム(文字の入れ替え)の仕掛け

主人公のテディことエドワード・ダニエルズは英字で書くと「Edward Daniels」。これを入れ替えると「Andrew Laeddis〈アンドリュー・レディス〉」になります。アナグラム(文字の入れ替え)です。このことは作中で語られています。


さらに題名の「SHUTTER ISLAND(シャッターアイランド)」も「TRUTHS AND LIES(真実と嘘)」のアナグラムになっていて、作品の本質を物語っているのです。

どんでん返しに次ぐどんでん返し

ラストで、完治したかと思われたテディにシーアン医師がタバコを勧めます。ところが「島を出よう、チャック」とのテディの言葉に、病状が変わっていないと首を横に振り、院長たちに合図を送り医師たちは落胆します。


ところが!
「どっちがマシかな?モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか」と続け医師たちの元へ歩み寄るテディに、驚きの表情を見せるシーアン医師。


彼は自分の病状を理解し、妄想世界に逆戻りした振りをして後者を選んだのです。
 



私の考察は以上です。

あくまでも参考資料を基にした個人的な見解ですが、本作解読のきっかけになれば嬉しい限りです。

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『シャッターアイランド』の配信サービスは

2021年9月12日現在、『シャッターアイランド』は
U-NEXT(見放題)、Amazonプライムビデオ(見放題)、dTV(レンタル330円〜)
にて視聴できます。
(今後変更となる可能性があります)

主な登場人物と作品概要

主な登場人物

  • テディ・ダニエルズ(レオナルド・ディカプリオ 吹替:加瀬康之)
    本作の主人公。連邦保安官。ボストンハーバーの孤島(シャッターアイランド)にあるアッシュクリフ精神病院を調査する。3人のわが子を殺したレイチェル・ソランドが脱走
  • チャック・オール(マーク・ラファロ 吹替:志村知幸)
    テディと共にアッシュクリフ精神病院の調査をする連邦保安官。
  • ジョン・コーリー院長(ベン・キングスレー 吹替:有本欽隆)
    医師・アッシュクリフ精神病院の院長。精神医療について進歩派であることを自負している。
  • ドロレス・シャナル(ミシェル・ウィリアムズ 吹替:宮島依里)
    テディの亡くなった妻。映画ではテディが見る妄想の中でしばしば現れる。
  • レイチェル・ソランド(エミリー・モーティマー 吹替:高橋理恵子)
    3人のわが子を殺し、アッシュクリフ精神病院に収容されていた女性。ある日突然消えてしまうが、テディたちの捜査の末、洞窟の中にいるところを発見される。
  • ミセス・カーンズ(ロビン・バートレット)
    シャッターアイランドに収容されている患者。浮気をしていたDV夫を殺した。
  • アンドリュー・リーディス(イライアス・コティーズ 吹替:辻親八)
    放火によってテディの妻ドロレスを死に至らしめた男・・実は?

作品概要

  • アメリカ映画
  • 【監督】マーティン・スコセッシ
  • 【脚本】レータ・カログリディス
  • 【原作】デニス・ルヘイン『Shutter Island』
  • 【製作】マーティン・スコセッシ、ブラッドリー・J・フィッシャーほか
  • 【製作総指揮】クリス・ブリガム、レータ・カログリディスほか
  • 【音楽】ロビー・ロバートソン
  • 【配給】パラマウント映画
  • 【公開】(米)2010年2月19日(日本)2010年4月9日
  • 【上映時間】138分
  • 【言語】英語

●『シャッターアイランド』のあらすじや見どころはこちらの記事をどうぞ

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この記事を書いた人

映像コンテンツの内容を作成させて頂いているカプチーノと申します。
映画ファン歴35年の映画マニアです。
歴史作品やドキュメンタリー作品が得意分野で、作品の原作をチェックしたり歴史作品は史実との検証もするマニアです。
作品エピソードを絡めつつ、個人的な嗜好よりも客観的な視点で作品の良さをお伝えする様に心掛けています。

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