映画『三度目の殺人』を徹底考察&解説!タイトルが意味するものは?


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以前、是枝裕和監督作品『三度目の殺人』のあらすじや見どころの記事を書きました。
※関連記事はこちら→『三度目の殺人』のあらすじ・見どころと見逃し配信の動画視聴先は

邦画では珍しく難解系ミステリー作品の本作。でも、難解と言っても、人物描写をどう読み取るかが大きなカギなのです。

せっかく良い作品なのに、疑問やモヤモヤが晴れないままなのは作品への印象にも影響しますよね。
そこで、自分なりにこの作品を分析した考察を、みなさまに共有しようと思います。

[予告版動画はこちら]

目次

タイトルが意味するところとは

この作品は「誰が殺人を犯したか」を表面上は描いていながら、「人間の自己保身意識と国家権力(ここでは司法制度とそれに従事する弁護士と裁判官などの権力者達)の傲慢さと制度の欠陥」が本質となっています。

自己保身の象徴が接見の度に発言や態度が変化する三隅であり、司法制度の傲慢さと欠陥の象徴が「勝訴こそ正義である」と信じて疑わない重盛なのです。

そして、真実より勝訴を優先する事で“世の中の不条理”を生み出す元凶が「司法の傲慢さと欠陥」である事を描いています。
その描写が三隅と重盛の間のセリフに出てきます。

  • 「殺人を犯す人間と犯さない人間は生まれつき別れている」
  • 「生まれてくる価値の無い人間はいる or そんな人間なんて居ない」
  • 「人を裁ける人とはどんな人なのか?」
  • 「人は自ら望まずとも選別されている」

一見コロコロ変わる三隅の供述ですが、一貫している事が!

冒頭で「三隅の供述がコロコロ変わる」と刷り込まれているので先入観で観がちですが、普段は温厚な三隅が感情をむき出しにするシーンが3ヶ所あります。
その3ヶ所こそ真実を語っている自己保身が目的で、他の証言は咲江を守る為の偽証なのです。

この作品の重要なカギ

十字架

カナリヤのくだりで、三隅が5羽の内1羽を残し殺して自作の墓に埋めるのですが…

  1. 死体遺棄現場の十字の影とカナリヤを埋めたお墓の十字架
  2. 北海道で雪の中に寝る三隅と咲江の十字
  3. ラストの重盛が立ち尽くす十字路

これらは全て十字架のメタファー(隠喩=比喩であることを明示しない比喩)で、後に弁護士として、人として三隅を死刑に追いやった重盛が背負う事になる真実の重大さという十字架を意味しています

雪原のシーンで重盛だけが大の字になっているのは、重盛だけが真実を知らず十字架を背負っていない事を表しています。

カナリヤと檻

1羽だけ放たれたカナリヤは、咲江を象徴しています。
残りのカナリヤは他の登場人物たち(検事、弁護士達、裁判官、北海道の元警官、妻、三隅)の象徴で、全員が司法制度の檻の中で飼われているが故に法の力と自己保身の呪縛から逃れられません。

そんな中で証言を拒否された咲江は、罪を犯しながらも三隅に救われた事で、唯一檻から放たれた事を意味しています。

三隅との接見で重盛に変化が

生まれながらにして選別されていた三隅と重盛ですが、終盤になると同じ人間として意識が重なり合い重盛は真実の十字架を背負う事になります。
死刑判決後の接見シーンが選別と共鳴を同時に描いています。
それぞれ違う方向から穏やかな陽の光を浴びる二人ですが、会話をしていく内に重盛の顔にガラスに移った三隅の顔が重なり合います。

真相解明で意識の共鳴に恐れをなした重盛が重なる顔を遠ざけて逃げようとします。しかし、真実を知ってしまった重盛は十字路に立ちつくします。
人としても弁護士としても真相の重大さと言う十字架を背負う事になった瞬間です。

タイトルの「三度起きた殺人」の真相とは…

ヒントはタイトルバックの画像と、この3人だけが頬に付いた返り血を拭う仕草に表現されています。

  1. 1度目の殺人:三隅が起こした30年前の放火殺人事件
  2. 2度目の殺人:咲江が起こした父親への殺人及び死体損壊
  3. 3度目の殺人:三隅を死刑に追いやり咲江の罪の真相を隠ぺいした重盛の罪

弁護士であるが故にこの3つの殺人に深く関与し真相に辿り着いた重盛は、自ら望ますに選別されている「法で人を裁く”人”」であるが故に重い十字架を背負う事となります。

この作品はミステリーであると同時に、少年犯罪や少年法を含めた法制度の問題点も絡めた社会派作品でもあります。

私の考察はこんなところです。私の考察で作品に興味が沸けば幸いです。
 


『三度目の殺人』のあらすじや見どころはこちらの記事をどうぞ

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この記事を書いた人

映像コンテンツの内容を作成させて頂いているカプチーノと申します。
映画ファン歴35年の映画マニアです。
歴史作品やドキュメンタリー作品が得意分野で、作品の原作をチェックしたり歴史作品は史実との検証もするマニアです。
作品エピソードを絡めつつ、個人的な嗜好よりも客観的な視点で作品の良さをお伝えする様に心掛けています。

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