『グラン・トリノ』は2008年公開のアメリカ映画、名匠クリント・イーストウッドが監督・主演・プロデューサーを兼任し大ヒットした作品です。
後の「運び屋」でも脚本を担当したニック・シェンクの脚本家デビュー作で、クリント・イーストウッドが脚本と主人公に惚れ込み、俳優引退宣言をした作品でもあります。
頑固で偏屈な性格に自らのトラウマも相まって、家族からも嫌われ、人を寄せ付けようとしない差別主義者の主人公が、隣人との交流をきっかけに変わっていく様子を描いた感動ヒューマンドラマです。
[予告版動画はこちら]
https://youtu.be/7Ld2E3ZEEAM
『グラン・トリノ』のあらすじ
舞台はミシガン州のデトロイト。主人公のウォルト・コワルスキーは、軍隊を退役した後にフォード社で自動車工として50年を勤めあげた男で、超カタブツの差別主義者。
日々軍隊仲間と悪態をついては、愛車のグラン・トリノを眺めながら愛犬と共に静かな隠居生活を送っているコワルスキーですが、妻と死別し病魔に侵され余生幾ばくもない状態でした。
自動車産業の一大拠点となっていたデトロイトでしたが、日本車の台頭で東洋人の移住者が増加し、国産車は衰退の一途で息子も日本車を売っています。
コワルスキーは軍人気質もあってか悪態をつくクセ者振りが災いし、息子を罵倒することで家族関係は最悪。
そんな彼の隣に東洋人モン族のロー一家が引っ越して来ます。
言葉も通じない東洋人と見るや、彼らを忌み嫌い、差別発言を吐き侮辱するコワルスキー。彼が東洋人をイエローと蔑視するのには、朝鮮戦争時のトラウマに理由があったのです。
そんなある日、隣に住む少年のタオが親戚のギャング達にそそのかされて、コワルスキーの愛車グラン・トリノを盗もうとします。銃を向けてタオを撃退したコワルスキーでしたが、この事がきっかけでタオがギャングに嫌がらせを受けている事を知り、そこからロー一家との交流が始まります。
ロー一家で英語で会話のできるタオと姉のスー。彼らと交流を重ねていくある日、ある事件が起きます。。。
『グラン・トリノ』の見どころ
戦時中の経験がトラウマとなって差別をはばからないコワルスキーが、隣人のロー一家との交流を重ねる内に家族愛の温かさや人として大切なものを思い出していくヒューマンドラマがこの作品の魅力になっています。
コワルスキーの軍人仲間たちも口は悪いが人としての優しさを垣間見せていて、作品の良いスパイスになっています。
ロー一家との交流を通して変わっていくコワルスキーとラストの展開は、胸を熱くすると一方で考えさせられる事でしょう。
もう一点は役者たちの演技です。有名俳優を起用しない事でも知られるクリント・イーストウッド監督ですが、主演の本人はもちろんの事、子役や役者たちの演技の素晴らしさはこの作品でも見どころになっています。
クリント・イーストウッド監督作品に外れ無し!お勧め度は満点の★5つ!! 映画ファン必見の名作です。
フォード車「グラン・トリノ」について
この映画のタイトル「グラン・トリノ」は、主人公が長く勤めていた、米フォード・モーター社の車の名前です。ここで少しその車について触れておきます。
米フォード・モーター社が、1968年から1976年にかけて北米向けに製造・販売した中型車が「フォード・トリノ」です。「トリノ」の名前はイタリア北部の都市で、フィアットなどを中心とする自動車工業の拠点である「トリノ市」に由来します。
「フォード・トリノ」は3つの世代に分かれますが、その中で第3世代(1972〜1976年)にフルモデルチェンジして販売されたのが「グラン・トリノ」です。大きな升型のフロントグリルとヘッドライトの周囲にクロームメッキのベゼル(枠)となっているのが特徴、斬新なデザインが話題になりました。性能面でもスポーツ性も高く、人気だったそうです。コワルスキーがこの車の製造に関わっていたことを誇りに思うのがわかるような気がします。
プラモデルですが、76年式のグラン・トリノはこんな感じです。
『グラン・トリノ』の見逃し動画配信サービスは
『グラン・トリノ』は2021年5月現在、以下の各動画配信サービスで配信されています。
動画配信サービス | 配信の有無 |
---|---|
U-NEXT | 見放題 |
Amazonプライム・ビデオ | 見放題 |
TELASA | レンタル 220円 |
YouTube | レンタル 400円 |
Google Play | レンタル 400円 |
※情報は2021年5月18日現在のものです。料金には消費税が含まれています。
※レンタルとは、月会費とは別にそれを観る時に別途課金されるもので、各サービスにより2日間~7日間程度の視聴期間が設定されています。
主な登場人物と作品概要
主な登場人物
- ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド 吹替:滝田裕介)
本作の主人公の老人。元軍人でプライドは高いが、妻を亡くして孤独に過ごしている。 - タオ・ロー(ビー・ヴァン 吹替:細谷佳正)
隣に住むラオス人モン族家族の息子。不良たちにそそのかされてコワルスキーの愛車を盗みに侵入する。 - スー・ロー (アーニー・ハー 吹替:小笠原亜里沙)
タオの姉。実はロー家はとても温かい家族である。 - ヤノビッチ神父(クリストファー・カーリー 吹替:川島得愛)
協会の若き神父。亡くなったコワルスキーの妻から、夫のことをお願いされていた。 - スパイダー〈フォン〉(ドゥア・モーア)
タオとスーのいとこ。モン族人で作っているギャングのボス的存在。
作品概要
- アメリカ映画
- 【監督】クリント・イーストウッド
- 【脚本】ニック・シェンク
- 【原案】ニック・シェンク、デヴィッド・ジョハンソン
- 【製作総指揮】ジェネット・カーン、ティム・ムーア、アダム・リッチマン
- 【制作会社】GKフィルムズ、マルパソ・プロダクションズ、ワーナー・ブラザース
- 【音楽】カイル・イーストウッド、マイケル・スティーヴンス
- 【配給】ダブル・ニッケル・エンターテインメント、ワーナー・ブラザース ほか
- 【公開】(米)2008年12月12日(日本)2009年4月25日
- 【上映時間】117分
- 【言語】英語
川本三郎、芝山幹郎、町山智浩らによる、映画界の巨人クリント・イーストウッドに関する多角的な考察やインタビューなどをまとめた、ファン垂涎の一冊。
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