映画『ラストエンペラー』を徹底考察!その魅力や背景・裏事情を探る

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日本の映画ファンには大人気の『ラストエンペラー』
当ブログでも、あらすじ・見どころの記事も書いています。

私も大好きな作品なのですが、実はいろいろと曰く付きの作品でもあるのです。


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今回はいろんな角度からこの作品を分析・考察して、この作品の魅力や背景をご紹介しようと思います。

[予告版動画はこちら]

目次

人気はあるのに放映・配信されない裏事情

輝かしい賞を総ナメにしたのはもちろん、馴染みのある日本人が多くキャスティングされ、日本にもゆかりの深いストーリー、映画音楽担当が坂本龍一… これらが日本で人気を博す最大の要因になりました。

私を含めてこの作品を好きな人は多いのにテレビ放映や映画配信サイトで配信されてない理由がこの作品に数多く隠されているので、そこを解析していこうと思います。

大きく3つの理由があります。

  1. 監督独自の解釈に加えて中国視点での作風になっている。
  2. 史実とは大きく相違のある内容が多くて誤認されかねない。
  3. 上記2点が原因で、日本での公開時に配給会社の松竹富士が内容に抗議した。

つまり、史実と作品の内容には大きなくい違いがある事や、政治的な要因がプロモーションされていかない理由になっています。

エンターテインメント性優先の作風が最大の魅力であり難点?

この作品の最大の魅力はスケールの壮大さと荘厳さに尽きると思います。
本物の紫禁城で撮影された事は今では考えられませんし、サウンドトラックが作品の重厚感の一躍を担ったのはご存じの通りです。

その一方で、愛新覚羅溥儀の自伝『わが半生』を原作としていながら、原作の内容や史実とは大きく異なる内容になっているのもこの作品の特徴になっています。

紆余曲折を経た名作への道のり

公開されるまでに様々な紆余曲折があった事でも知られるこの作品。最大の原因は歴史描写です。
日本の昭和天皇とも親密な交友関係があった溥儀ですが、作中で日本を訪れる溥儀を昭和天皇が東京駅で出迎えるシーンが撮影されたそうです。

そういった事実がない上に、日本における天皇の性質から全シーンがカットされています。

もう一点はこの作品の代名詞とも言われる映画音楽です。
日本では坂本龍一氏だけが注目されているサウンドトラックですが、実際はロックバンド「トーキング・ヘッズ」のデヴィッド・バーンと中国の音楽家コン・スー3人の共作でプロデュースをその後アカデミー賞の常連で名プロデューサーとなるハンス・ジマーが担当しています。

ちなみに、坂本龍一氏への音楽作成のオファーは作品完成後ずいぶんと経ってからで、当初はデヴィッド・バーンとコン・スーで担当する予定だったそうです。

歴史的ミスリード(誤認誘導)を含んだ中国忖度作品の側面

ドラマチックな内容でエンターテインメント作品としては素晴らしい仕上がりになっている本作ですが、作中で描かれている内容のほとんどは歴史的事実と異なっています。
挙げたらキリがないのですが、そのいくつかを紹介しましょう。

  • 溥儀の家庭教師ジョンストンは登場するが、婉容の家庭教師イザベルイングラムは全く登場しない。
  • 婉容の子供を日本軍が殺害したと想定できる描写になっているが、実際は溥儀が世話役に殺害を指示した。
  • 同い年の婉容がなぜか年上の年齢設定。
  • 「中国国共内戦時の映像」を使用し南京大虐殺映像や細菌兵器の人体実験、軍費捻出の為に日本軍がアヘン生産工場を管理していた…などが日本軍の蛮行が歴史的事実であるかの様に描かれている。
  • 関東大震災時の日本や災害時の中国に匿名で多額の義捐金を送るなど、慈善活動に熱心だった溥儀が日本と交友関係を築いた事が全く描かれておらず、日本軍の蛮行や愚行だけが描かれている。
  • 晩年の溥儀が中国の政財界組織の委員に属していた事には一切触れられず、庭師として死んだことになっている。
  • アヘンにまつわる内容や、川島房子を中心に同性愛や恋愛関係に関する内容の略全ては事実に反している。

(溥儀本人がホモセクシャルで、それが夫婦関係破綻の要因の一つであった事は事実だが、そこは描かれていない)

などなど…

この作品の中で描かれている内容を史実であると認識してしまうには、かなり危険な側面を持っているのです。

観応えのある作品であることは間違いないですし、ドキュメンタリー作品以外の「事実を基に…」と謳われている映画作品の全ては何らかの演出が施されているものなので、「史実系フィクション作品」として鑑賞する事をお勧めします。
 


『ラストエンペラー』のあらすじや見どころはこちらの記事をどうぞ

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