映画『ブラック・クランズマン』の背景と面白さを徹底解説!

 
実はムチャクチャ面白い「ブラック・クランズマン」!

コメディタッチのCMに期待感をもって鑑賞したものの「思った作品じゃなかった」と言う感想がチラホラとあった「ブラック・クランズマン」

案の定、日本での反応や反響はいまひとつでした。スパイク・リー作品と言えば人種問題や社会問題を中心に人物描写の巧みさと社会性が特徴で、本作でもその特徴が顕著だった事もあってかなりアカデミックな側面を持っています。

なので、ある程度の知識が無いと内容も面白さも感じ取れないのは確かだと思います。

ところが!
事前に必要な知識を備えておけば、ムチャクチャ笑えて面白い作品なのです!

知的好奇心も刺激してくれるし、人種問題や社会問題も勉強できる上に、吹き出してしまうほど笑えるシーンもある実に贅沢な作品!!

カンヌ国際映画祭では審査員特別グランプリを受賞した他、アカデミー賞やゴールデングローブ賞でも高い評価を得ているこの作品を楽しめないなんて実に勿体ないです!

なので、今回は「ブラック・クランズマン」の面白さを分析・考察して、みなさまに共有しようと思います。

【予告編動画はこちら】

目次

「ブラック・クランズマン」はユーモアと社会問題の絶妙なバランスがカギ!

実はこの作品、1972年にロン・ストールワースと言う実在した黒人警官が「KKK」に潜入捜査をした実話を描いていて、ロン本人が記した同タイトルの回顧録が原作になっています。(捜査資料や記録は全て破棄されてしまって残っていないそうです。)

「ブラック・クランズマン」というタイトルこそ、ユーモアの表れになっていて作品の面白さを物語っているのですが、これについての詳細は後述します。

まずは作品の背景を知ろう!

大前提として、英語にも地方や人種によって方言があるのはご承知の通りで、黒人と白人の間にもその事が言えるのですが、主人公のロンは白人教育を受けて育った関係で白人英語を使って生活していました。しかも無差別主義者でした。

この大前提がこの作品の重要なポイントになっています。

潜入捜査の背景にはKKKとブラック・パンサー党の対立があります。
そして、黒人でありながら白人の慣習や文化を理解している無差別主義者であるロンが潜入捜査を通して差別問題に直面するという実話がストーリーの根幹になっています。

これさえ知っておけば準備万端!作中に登場する団体や呼称を解説

冒頭に登場する演説をしている白人は誰?

ケネブルー・ボーリガード博士と言う架空の人物で白人至上主義者です。
差別思想が色濃いと批判の声も多い「風と共に去りぬ」のワンシーンを背景に、隔離政策を奨励する法律を批判しているのです。

現在も活動している「クー・クラックス・クラン(Ku Klux Klan)」と言う白人至上主義団体で、ワスプ(W.A.S.P.)こそが最も優れた人種であり、それ以外の人種は劣る存在だと言う過激思想の秘密結社です。

彼らの批判対象は黒人以外にも、カトリック教徒、イスラム教徒、黄色人種、ヒスパニック、ユダヤ系、同性愛者…と多岐にわたります。
※作品では描かれていませんが、ドイツにも同じKKKがあります。

「クランズマン」とはKKKの正式会員の総称で、タイトルの「ブラック・クランズマン」は団体の理念上ではあり得ない黒人会員をユーモラスに表現した笑える皮肉になっているのです。

ブラック・パンサー党

元々は黒人の自衛団で、共産主義の影響を受け暴力的な思想が強く、黒人の解放を革命で成し遂げようとする急進な過激思想集団です。

作中に登場するクワメ・トゥーレは実在の人物ですが、パトリスは架空の人物で女性幹部であったエリカ・ハンギスかアンジェラ・デイビスがモデルになっている様です。

W.A.S.P.(ワスプ)

White Anglo-Saxon Protestantsの略語で、プロテスタント信者のアングロ・サクソン系の白人の事で、具体的には白人アメリカ人とイギリス系の上流階級を限定的に言い表しています。

国民の創生(作中に出てくる映画)

黒人が悪として描かれ白人至上主義思想を象徴し助長させた元凶的作品。

クラスタ

団体とか集団とかの意味です。

ニガー

黒人(特にアフリカ系)に対する蔑称です。

カイク

ユダヤ人に対する蔑称です。

ダビデの星

ユダヤ教とユダヤ民族の象徴である六芒星を指します。
 


取り敢えずはこんなところでしょうか。

この作品のどこが笑えるの?

ザックリ言ってしまうと、主人公のロンと白人たちとのやり取りです。

ひとつ目は、潜入捜査チームの同僚ふたりとのやり取りです。
同僚二人はロンに対して全く差別意識を持っていない「良き仲間」なのですが、周囲の差別主義の白人たちを揶揄する様にジョークで嫌味や皮肉をロンに浴びせます。

ロン本人もその事を解っているので、ジョークで悪態をついたりして対応しています。

ふたつ目はKKK党首であるデイビッド・デュークと電話でやり取りです。
黒人文化に対して偏見はあっても知識や見識が無いデイビッドは、しゃべり方を含めて偏った知識しかありません。

ロンは黒人文化も白人文化も両方知っていて黒人特有のしゃべり方をしないので、デイビッドのあまりに乏しい知識と間違った思い込みを揶揄した会話を続け、デイビッドは完全にロンを信用しきっていきます。

その様子を見ていた白人の同僚たちは、デイビッドの滑稽さに吹き出して爆笑します。(エンディングでは極右集会でデイビッド・デューク本人登場するドキュメンタリー映像が流れます)

3つ目はロンと仲の良い同僚たちです。
ロンを差別している白人警官をよそに、ロンに対して「悪意の無い悪態」を突くところがユーモアに溢れています。

エンディングで映し出される逆さの国旗の意味とは?
政治的抗議や心痛を表現していて、冒頭の「風と共に去りぬ」に登場する国旗と対照を成す意味を持っています。

開始早々からエンディングまでかなりハイレベルな内容の作品ですが、コメディ要素を絡めつつ内容が濃くて面白い作品です。

「食わず嫌い」を克服して、一度観てみてはいかがでしょう?

『ブラック・クランズマン』の見逃し動画配信サービスは

『ブラック・クランズマン』は2021年6月現在、以下の各動画配信サービスで配信されています。

動画配信サービス 配信の有無
U-NEXT レンタル 199円
dTV レンタル330円~
TELASA レンタル 385円

※料金は消費税を含みます。レンタルは視聴期間の限定と月額とは別に都度課金があります。

 
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【ご注意】この記事の内容および配信情報は2021年6月18日時点のものです。その後、内容の変更や、配信が終了していたり見放題が終了している可能性がございます。現在の配信状況はサービス各社の公式サイトもしくはアプリをご確認ください。


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この記事を書いた人

映像コンテンツの内容を作成させて頂いているカプチーノと申します。
映画ファン歴35年の映画マニアです。
歴史作品やドキュメンタリー作品が得意分野で、作品の原作をチェックしたり歴史作品は史実との検証もするマニアです。
作品エピソードを絡めつつ、個人的な嗜好よりも客観的な視点で作品の良さをお伝えする様に心掛けています。

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