映画『万引き家族』は、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドール賞や日本アカデミー賞をはじめとする様々な賞を受賞し、国内外で絶賛を博した是枝裕和監督の作品です。
この作品は、血のつながりだけでは測れない家族の形を描いたヒューマンドラマです。静かで温かな時間の中に現代社会の歪みや孤独を鋭く映し出す本作は、観る者に多くの問いを投げかけます。
この記事では、映画『万引き家族』のあらすじをはじめ、豪華キャスト、心に残る見どころ、そして実際に映画を観た人の感想について紹介していきます。
ぜひ最後までご覧ください!
映画『万引き家族』のあらすじ
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高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、柴田治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込む。彼らの目当ては平屋の持ち主である祖母の初枝の年金だった。
足りない分の生活品は万引きをすることで賄っていた。犯罪でしか繋がれなかった家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、お互いに口は悪いが仲良く暮らしていた。
ある冬の寒い夜、治と息子の祥太は家の外で震えていた幼い少女・ゆりを見つけ、放っておけず家へ連れ帰った。体中傷だらけで虐待を受けている様子のゆりを家族として迎え入れ、彼女を含めた疑似家族の日常はささやかな幸せに満ちていく。
しかし、ある出来事をきっかけに家族が抱えていた秘密が少しずつ明らかになり、「家族とは何か」「血のつながりとは何か」という根源的な問いが浮かび上がってくる。
社会の片隅で寄り添いながら生きてきた彼らの選択と結末は、観る者の心に深い余韻を残す。
映画『万引き家族』のキャスト・スタッフ
映画『万引き家族』のキャストはベテランから若手まで実力派俳優が揃い、子役の演技も高く評価されています。
ここでは、本作のキャストとスタッフについて解説していきます。
キャスト
| 俳優名 | 役名 | 役柄 |
|---|---|---|
| リリー・フランキー | 柴田 治 | 日雇い仕事をしながら家族を支える父親 |
| 安藤サクラ | 柴田 信代 | 工場で働く母親的存在 |
| 松岡茉優 | 亜紀 | 信代の妹、家族と同居する女性 |
| 城桧吏 | 祥太 | 万引きを教えられる少年 |
| 佐々木みゆ | ゆり | 虐待から保護され家族に迎えられる少女 |
| 樹木希林 | 初枝 | 年金で家計を支える祖母 |
スタッフ
| 担当 | 名前 |
|---|---|
| 監督・脚本・原案・編集 | 是枝 裕和 |
| 音楽 | 細野 晴臣 |
| 製作 | フジテレビジョン/ギャガ/AOI Pro. |
映画『万引き家族』の見どころ

ここでは、映画『万引き家族』の見どころを5つに分けて詳しく解説していきます。
1.「家族とは何か」を根本から問い直すストーリー
映画『万引き家族』の最大の魅力は、血縁ではなく選び取ったつながりとしての家族像を描いている点です。犯罪でしかつながれなかった家族は、社会的には歪んで見えるかもしれません。しかし、本作ではそこに確かな温もりがあることを丁寧に描いているので、「正しい家族とは一体何なのか」という問いを観る者に投げかけています。
2.視線や沈黙で語るリアルな演技
本作では、セリフで説明しすぎず、視線や間、沈黙によって感情を伝える演出が印象的です。
安藤サクラやリリーフランキー、樹木希林といった実力派俳優陣は、日常会話の中にある微妙な戸惑いや優しさ、諦めを自然体で表現し、リアルな生活の空気を作り出しています。
中でも注目したいのが、子役たちの存在感です。
祥太を演じた城桧吏は、善悪を言葉で理解しきれない年齢ならではの揺らぎを、ふとした表情や行動で繊細に表現しています。特に、大人の価値観を無意識に学び取っていく過程は、台詞以上に胸に迫るものがあります。
また、ゆり役の佐々木みゆは怯えや甘え、安心が少しずつ混ざっていく感情の変化を、ほとんど言葉に頼らず、見事に表現しています。その無垢な表情があるからこそ、大人たちの選択の重さがより際立つのです。
3.子どもたちの視点から描かれる残酷な優しさ
子どもたちにとって、「守られること」と「正しさ」は必ずしも一致しません。
大人の選択が子どもにどのような影響を与えるか、無垢な視点を通して描かれるからこそ、優しさと残酷さが同時に胸に迫ります。
4.静かな日常から浮かび上がる社会の歪み
映画『万引き家族』では、貧困、虐待、孤立、制度の隙間など、現代社会が抱える問題が、生活の延長線上として描かれています。
こうした社会の歪みを特別な話ではなく、すぐそばにある現実として感じさせる点も本作の大きな見どころです。
5.鑑賞後に残る深い余韻
映画の中では、明確な善悪や結論を提示していません。誰かを断罪するわけでもすべてを肯定するわけでもなく、ただ淡々とその後の出来事を映し出しています。
その抑制された描き方が、かえって観る側の感情を強く揺さぶるのです。
登場人物たちの選択が正しかったのか、別の道はなかったのか。
その答えは作品の中には用意されていません。
だからこそ、鑑賞後のふとした瞬間にあの家族の表情や言葉を思い出し、「家族とは何か」「守るとは何か」を考え続けてしまうでしょう。
観終わった直後だけではなく、時間が経つほどに心の中で広がっていく深い余韻。それこそが、この作品が長く語り継がれている理由の1つだと言えるでしょう。
映画『万引き家族』を観た人の感想
「家族とは何か」という問いはあまりにも多くなされているものだが、是枝監督の描く家族は常にその存在に揺らぎがある。家族であるかどうかギリギリの線を常についてくるというか。それによって家族とは何かという輪郭を浮かび上がらせている。家族であることが自明ではない共同体が、家族としてもし機能するなら、それにはどんなことが必要なのか。
多くの人が口を揃えて言う通り、安藤サクラの演技はすごい。他のキャストもつわものぞろいですごいと思う。ただ、どこかに作品が、セリフの一つ一つが、演者に頼りすぎているような違和感も覚えた。世の中から見向きもされない人たちに光を当てている意図は分かるのだが、さすがに名演技に、映画的なロケーションと撮影に、役者そのものの魅力に負いすぎてはいないだろうか。
とてもいい作品でした。やっていることはめちゃくちゃな家族なのですが、現代の社会事情、例えば、国民年金6万円などのリアリティのある生活がまざまざ見せつけられます。実際こうなるよなと、側から思っていたことを見せていますね。特に今の国を動かしている人たちにぜひ見てもらいたい。
さすがです。パルムドールに値する素晴らしい映画でした。多くの人に見てほしい。
出てくる役者の演技がとても愛おしい。だからこそ最後はもう少し魅せてほしかった。
切なすぎた…リリーフランキーと安藤サクラ、樹木希林という名役者たちのせいでものすごいリアルな幸せが描かれていた。からの最後の終わり方が切なすぎる…
たぶんこのキャストじゃなかったらこんなに泣ける映画じゃなかったと思います。役者ってすごい。
淡々と話は進む。映画を観るほとんどの人にとっては現実では起こりえないことである。一方で、映画の登場人物のうちの誰かには不思議と感情移入することができると感じた。この映画を観た後に自分の中でどのように物語を納得するかが皆それぞれ違うと思う。私としては、永遠に続く幸せでなくてもたとえ刹那的な幸せでも、無いよりはある方が良くて、良い経験として心に残ることは良いことだと思った。
まとめ
映画『万引き家族』は、貧困の中で寄り添いながら生きる疑似家族の日常を描いた作品です。万引きという違法行為をしながらも、そこにあるのは確かに温もりと優しさでした。
血のつながりがなくても、思いやりや居場所は生まれる。一方で、法律や社会の枠組みは、その関係を簡単には認めてくれません。本作は「正しさ」と「幸せ」が必ずしも一致しない現実を、観る者に突きつけます。
派手な演出や劇的な展開は控えめですが、その分、登場人物の表情や沈黙が心に深く残ります。観終わったあと、「自分にとって家族とは何か」「守るべきものは何か」を考えずにはいられないでしょう。
社会の片隅で生きる人々の小さな選択と、その行き着く先を描いた『万引き家族』は、静かでありながら強い余韻を残す作品です。
